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外壁の再塗装 vs サイディング(カバー工法・張り替え)どっちが得?寿命と費用を徹底比較

  • 外壁

こんにちは。1級建築施工管理技士の現場監督・福田です。

外壁メンテは「再塗装で延命するか」「サイディングで刷新するか」が大きな分かれ道。この記事は、はじめての方でも判断できるように、費用・寿命・工期・暮らしやすさを整理して比較、ポイントを詳しく解説します。

先に結論:あなたに向いているのは何?

まずは判断の基準を簡単に紹介

チョーキング(手に粉が付く)・色あせしている場合は...

まずは再塗装(塗り替え)を検討してください。
※下地が健全(反り・浮き・雨漏りなし)が条件です。

反り・浮き・割れ・雨染みが顕著/雨漏りの疑いがある場合は...

サイディングの張り替えもしくは張り替えが本命です。
その他にも「目地割れ・サッシまわりに隙間がある」場合などもこちらが該当します。

デザインを大きく一新・断熱・遮音を強化したい場合は...

サイディングの張り替えもしくは張り替えが向きます。

よくある誤解

誤)「劣化=すべて張り替え」× → 正)塗膜劣化や目地劣化だけなら再塗装で十分なケースが多い
誤)「塗装すれば反りも直る」× → 正)素地の変形は塗装では直らない

現場監督 福田からのアドバイス①

まず見るのは“見た目の汚れ”ではなく下地の健全性。雨水の侵入痕、サイディングの反り・浮き、開口部(窓まわり)のクラックを最優先で確認してくださいね。また、バルコニー防水が劣化している場合に、外壁と同時に見直すと足場の二重コストを回避できますよ。

[用語解説]工法について

再塗装(塗り替え)

外壁の状態が比較的良好なときに選ばれることが多い方法です。
一般的な手順は補修 → 下塗 → 中塗 → 上塗。サイディング外壁でも対応できます。
また、サイディングの場合は目地(コーキング)の打ち替えや増し打ちを同時に検討すると、仕上がりと持ちのバランスが取りやすくなります。

カバー工法(重ね張り)

既存の外壁の上から、新しいサイディングを重ねる方法です。
撤去が少ないぶん工期が読みやすいことが多く、生活への影響を抑えたいときに検討しやすい選択肢です。
その反面、既存の下地状態の確認は限定的になりやすいため、事前調査や通気・防水の設計確認が鍵になります。

サイディングの張り替え

既存の外壁材を外し、透湿防水シート → 新しいサイディングの順で入れ替える方法です。
下地まで点検・是正できるため根本対応につながりやすい一方、廃材処理や工期・費用は増えやすい傾向があります。

費用と寿命のリアル目安(30坪・2階建て・一般例)

価格耐用備考
再塗装80〜150万円8〜12年・塗料グレードで差:ウレタン<シリコン<フッ素<無機
・目地打ち替え・付帯塗装(雨樋・破風)を含めると精度アップ
カバー工法(重ね張り)120〜250万円20〜30年・既存撤去が少ない分、工期短縮。通気構法・役物納まりの確認必須
サイディングの張り替え180〜350万円30〜40年・廃材処理や付帯復旧が増え、コスト高だが根治性が高い

※地域、足場距離、既存状態、材料グレードで上下します(税込概算の目安)。
付帯費用の見落とし注意:足場、コーキング、雨樋、バルコニー防水、役物(見切り材)

カバー工法・張り替えをしても上記の耐用年数を出すには、コーキングとサイディングのメンテナンスが必要です。(7年~15年)。足場 → コーキング打ち替え → サイディング塗装の工程で約2~3週間。以下の塗装工事のブログでもご紹介しましたが、この時に屋根・付帯部(樋<とい>や雨戸やシャッター・板金部分)を一緒に塗装することが多いです。

<関連記事1>
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<関連記事2>
[屋根リフォーム]屋根のカバー工法(ガルバリウム鋼板)のメリット・デメリットを現役の現場監督が分かりやすく解説

現場監督 福田からのアドバイス②

見積りが「一式」だらけなら内訳分解を依頼しましょう。
特にコーキング延長や下地補修の単価が曖昧だと追加費用の火種になるため、注意が必要です。
なお、「一式」すべてが悪いわけではなく、リフォーム特有の「現場の不確定要素」に対応するためにあえて使われることがあります。山中木材の見積もりでも、工事内容は記載しますが、平米(㎡)数は一式で記載しています。分からないときは、「この一式、どこまで入っていますか?」と遠慮なく聞いてくださいね。

塗装とサイディングをデザインの観点で見てみると

塗装で出来ること

色替え、艶感の調整、汚れにくい塗料の選択。柄や目地パターンの刷新はできません。

サイディングで出来ること

柄替え・張り方向(縦/横)・目地計画で大幅に印象を変更することができます。

[断熱・遮音について]
断熱材付きサイディングで外壁の断熱性は高められます。一方で、家全体の断熱性はもともとの壁構成の影響が大きいです。窓の性能や天井・床の断熱も合わせて見直すと、効果を実感しやすくなります。

現場監督 福田からのアドバイス③

デザイン(色番・柄・役物)は着工前の最終確認でサンプル実物をチェックしてくださいね。
着工後の変更はコスト増・工期延長の原因になってしまいます。

工期・住みながら工事のしやすさ

工期備考
再塗装7〜14日が目安天候で順延あり。住みながら工事が基本。洗濯物・窓の養生に注意。
カバー工法(重ね張り)10〜20日騒音・粉じんは出るが、住みながらが多い。
サイディングの張り替え14〜30日解体・復旧工程が増え、騒音・粉じん・振動が大きい。
状況により日中の在宅配慮や仮住まい検討。

失敗しない見積もり比較のチェックリスト

<共通>
●見積もりの内訳の見える化:何が含まれて/含まれないか、進捗報告(写真共有)や保証の有無。
追加工事の扱い:下地補修やコーキング延長が出た時の条件と単価
足場・付帯:足場、雨樋・バルコニー防水、電気・配管の復旧が入っているか。
<再塗装(塗り替え)>
工程と塗料:下塗・中塗・上塗の回数、塗料グレード、塗布量/希釈の記載。
目地まわり:コーキングは打ち替えか増し打ちか、範囲はどこまでか。
<カバー工法(重ね張り)>
通気・防水:透湿防水シートの等級、通気層の確保、役物(見切り・水切り)。
既存の扱い:既存下地の状態確認方法、干渉部の復旧(窓・換気フード等)。
<サイディング張り替え>
撤去後の前提下地補修の想定(腐朽・合板補修)のルール。
納まり:窓・バルコニー・基礎周りの水切り計画、シーリング仕様(打ち替え・三面接着回避)。

上記はあくまで目安です。迷ったら、まず「下地の健全性」→「追加の出し方」→「報告・保証」の順で確認すると、比較がぶれにくいですよ。

施工後のメンテナンスと保証

再塗装の場合

3〜5年ごとに点検(南面・バルコニー・目地重視)

サイディングの場合

10年前後で目地打ち替えを検討。早めの部分補修が長寿命のコツ。

[保管物について]
保証書、施工写真、色番・型番の記録を残しておくと、将来の部分補修や色合わせに役立ちますよ。

ケーススタディ(実例イメージ)

【例1】築15年・サイディング・目地劣化中心

工法再塗装+目地打ち替え
費用約110万円〜
工期約10日
ポイント下地健全。塗料はシリコン。南面は汚れに強い色を選定。

【例2】反り・浮き多数/雨漏り疑い

工法カバー工法(通気層を確保)
費用約200万円〜
工期約16日
ポイント役物で納まりを整理。柄替えで外観刷新。

【例3】沿岸部・塩害地域

工法サイディング張り替え+付帯金物見直し
費用約300万円〜
工期約24日
ポイント耐候性重視。金物の材質選定と防錆(さび)ディテールを強化。

リフォーム会社の現地調査前に準備すると良いもの

項目主な箇所チェック欄
写真全景/北面/目地アップ/バルコニー周り/基礎際
建物情報築年/外壁材/前回メンテ時期/気になる症状
希望重視したい指標(費用・寿命・デザイン・工期)の優先順位

FAQ(よくある質問)

Q1. カバー工法と張り替え、どちらが長持ち?

A. 下地まで更新する張り替えが有利ですが、既存が健全ならカバー工法でも20〜30年の耐用を狙えます。通気・防水・役物の設計が鍵になります。

Q2. 再塗装で濃色に変えると熱で痛みやすい?

A. 濃色は表面温度が上がりやすいため、基材やコーキングへの熱負荷は増えます。遮熱塗料や面ごとの色設計でバランスを取ってください。

Q3. 足場代を抑えるコツは?

A. 同時工事(雨樋・破風塗装、バルコニー防水、屋根点検)と併せると二重足場を回避しやすいです。

Q4. 雨が続いて工期が延びたら品質は下がる?

A. 適切に乾燥時間を確保すれば品質は担保できます。無理な強行よりも順延判断の方が仕上がりは安定しますよ。

Q5. モルタル外壁とサイディング、判断は変わる?

A. モルタルはクラック補修+再塗装が基本。サイディングは目地・反りの状態を見てカバー/張り替えを検討してくださいね。

まとめ

外壁メンテの判断でいちばん大切なのは“見た目”よりも下地の健全性です。まずは反りや浮き、そして雨仕舞い(雨水の入り込みやすさ)が正常かどうかを確認しましょう。ここが問題なければ再塗装で十分に整えられるケースは多いですし、反対に下地の傷みが進んでいれば、張り替えやカバー工法を視野に入れた方が合理的です。

次に、費用と寿命のバランスをどう取るかを考えます。短中期のコストを抑えたいなら再塗装が候補になりやすく、外観の刷新や長寿命化まで一気に狙うならカバー工法や張り替えが有力です。住まい方や優先順位(費用・デザイン・工期)に合わせて選ぶのが無理のない進め方です。

そして、見積もりは“見える化”が肝心です。金額だけでなく、内訳の根拠、通気・防水の設計、役物(見切り材など)の種類、追加補修が発生した際の条件や単価、さらに工事中の写真報告の仕組みまで、事前に確認しておくと納得度がぐっと上がりますよ。

専門家として一言。結論を急がず、写真と内訳で現状を見える化してから選ぶのが、遠回りに見えて実は最短のルートだと感じています。迷ったときほど、落ち着いて現状を把握するところから。みなさんが納得のいく一歩を踏み出せることを願っています。

この記事を書いた人

福田 雄一郎[現場監督/1級建築施工管理技士]

工務部では部長としてリフォームを中心に現場管理をメインに担当しています。本ブログでは「私自身がリフォームをするのであればこうする」という視点でみなさまに役立つ情報を紹介していきます。よろしくお願いいたします。