はじめに
<当社施工事例>
キッチンなど、リフォームの計画を始めると、複数の会社から見積もりを取る機会があるかと思います。その際、他社よりも極端に価格が安い見積もりを提示されると、つい魅力を感じてしまうものです。しかし、そこには普通に流通しているベーシックな設備を組み合わせることで、意図的に初期費用を安く見せるリフォーム会社のテクニックが隠されていることが少なくありません。
こうした設備は、カタログや単体で見ればもちろん不良品ではありません。しかし、現代のライフスタイル、特に一般的な4人家族の忙しい暮らしを想定したときには、機能や使い勝手の面で「時代遅れ」と言わざるを得ないものが多く含まれています。また、安く見せるためだけでなく、昔からの慣習や深く考えずに取り入れた結果、今の暮らしに合わず不要になってしまう設備もあります。安さやついでの感覚に流されて選んでしまうと、リフォームしたばかりなのに毎日の調理や片付けでストレスを抱えることになりかねません。
本記事では、後悔の原因になりがちな「時代遅れ」の10個の設備や仕様について1級建築施工管理技士の現場監督・福田が「私だったらこうする」という視点で解説します。「どの費用を抑え、どこに投資すべきか」の参考になれば幸いです。
①キッチンやカップボード下側の「開き戸仕様」
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現在も多くのメーカーで最安グレードの標準仕様として流通しているのが開き戸です。リフォーム会社が見積もり総額を下げて見せたいとき、提案されがちな仕様と言えます。しかし、4人家族分の大量の調理器具や食器を収納する場合、開き戸では手前のものを一度出さないと奥のものが取り出しにくく、上部の空間に無駄なデッドスペースが生まれやすくなります。しゃがんで奥を覗き込む動作も、毎日の家事の中では大きな負担になります。最近の主流である引き出し式に比べると、収納力も利便性も大きく劣ってしまいます。
現場監督 福田からのアドバイス①
全体の予算をどうしても抑えなければならない場合、すべてのデメリットを納得した上で開き戸を採用することもあります。もし開き戸を取り入れるのであれば、毎日使うものではなく、たまにしか出番がない大きなお鍋や季節もののストック品を保管するスペースに限定して配置すると、日々の家事ストレスを最小限にできますよ。
②最初から除外されている「カップボード(食器棚)」
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同じく、見積もりを安く見せるための手法が、調理台となるシステムキッチン本体のみを計上し、背面のカップボードをあえて見積もりから外しておくという方法です。間取りに厳しい制限がある場合や、すでに使いやすい既存の食器棚がある場合は例外ですが、最初からセットで計画しておかないと、リフォーム後に置き場に困った調理家電が溢れ、乱雑なキッチンになってしまいます。市販の家具を後から置く方法もありますが、キッチンのデザインと統一感が出にくく、耐震性の面でも造り付けのカップボードに劣るため、結果的に後悔するケースが多いです。
➂パントリーの充実で不要になった「床下収納庫」
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少しでも収納が多いほうが良いという理由で設置されがちなのが床下収納庫です。忙しい日常の中で、しゃがんで蓋を開け閉めする作業は想像以上に負担となり、最終的には何を仕舞ったか忘れてしまうデッドスペースになりがちです。しかし現代の住宅リフォームでは、キッチンの収納設計そのものが大きく進化し、近くに大容量のパントリー(食品庫)などの充実した収納を設けることが一般的になったため、わざわざ使いづらい床下のスペースを活用する必要性は薄れています。
④オプション扱いではずされる「ソフトクローズ機能のない引き出し」
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引き出し収納を選んだ場合でも、リフォーム会社が価格を安く見せるために、ゆっくり静かに閉まるソフトクローズ機能を意図的に外して見積もっていることがあります。毎日何度も開け閉めする引き出しにこの機能がないと、勢いよく閉まった振動で中の食器同士がぶつかって傷ついたり、小さなお子様がいるご家庭では指を挟んで怪我をしたりするリスクが高まります。バタンと閉まる不快な音も響くため、数万円の差額であれば、ここは削らずに付けておくべき大切な機能です。
➄予算調整の定番とされる「2口コンロ(ガス・IHともに)」
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コンロの口数は、見積もり金額を数万円単位で調整しやすいポイントです。そのため、基本プランとして2口コンロが設定されているケースが多々あります。しかし、食べ盛りの子どもがいる4人家族の夕食準備を想像してみてください。メインのおかずを炒め、お味噌汁を作り、同時にお弁当用のおかずを下茹でする、といったマルチタスクが日常茶飯事になるため、2口だけでは調理効率が著しく落ちてしまいます。結局、一つのおかずが出来上がるのを待ってから次を作る形になり、夕方の貴重な時間が奪われてしまいます。
⑥「食洗機付き」という言葉だけで選んでしまう「浅型の食洗機」
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見積書に「食洗機付き」と書かれていると安心しがちですが、価格を抑えるために容量の小さい浅型が選ばれていることがほとんどです。選ばれる方は結構多いのですが、ここに大きな注意点があります。4人家族が1食で使う食器の量に加え、調理で使ったフライパンやボウルまでを一度に洗うには、浅型では確実に容量が足りません。結局、入り切らない分を手洗いすることになり、食洗機の恩恵を十分に感じられなくなってしまいます。
現場監督 福田からのアドバイス②
食洗機を浅型から深型へアップグレードするための差額は数万円程度ですが、リフォームが完成した後に「やっぱり深型に変えたい」と思っても、キッチンの構造上、大掛かりな再工事が必要になってしまいます。毎日の手洗いの手間を劇的に減らすためにも、最初から深型を選んでおくのが最もコストパフォーマンスの高い選択になりますよ。
⑦昔は一般的だった「タイル貼りの壁」
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昔のキッチンでは、壁面はタイル貼りが一般的でした。現代でもタイルはバリエーションが豊富でデザインも美しいため、インテリアにこだわって採用したい場合は例外です。ただし、選ぶ際にはいくつかのデメリットを知った上で検討する必要があります。まず、タイル自体は掃除しやすいものの、目地の油汚れやカビは落ちにくいため、日々のお手入れが大変になります。また、キッチンパネルと比較すると材料費や送料、職人による施工費が大きくかかるため、1平米あたり数倍もの費用になってしまう場合があります。そういったお手入れ性や価格面の手軽さからも、現在ではサッと拭くだけで掃除がしやすく、コストパフォーマンスに優れたキッチンパネルが多く採用されています。
⑧構造がシンプルで安価な「キッチンと一体化していないレンジフード」
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キッチン全体のすっきりとしたデザインに馴染まない、極端に手前に飛び出たブーツ型のレンジフードなどは、今も大量に流通しているため非常に安価に入手できます。リフォーム会社にとっては見積もりを安く仕上げるための強い味方ですが、内部の構造がシンプルでフィルターの掃除が面倒なものが多く、油汚れが溜まりやすいというデメリットを日々実感することになります。見た目の圧迫感だけでなく、料理で出る大量の煙を効率よく吸い込む点でも、最新のスリム型に劣ることがあります。
⑨工事の手間を省くために最小限にされた「コンセントの少ないキッチン」
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電気配線の工事費を浮かせて見積もりを安く見せるため、コンセントの数を最低限のままにしているケースがよく見られます。しかし、キッチンは驚くほど多くの調理家電であふれます。炊飯器や電子レンジはもちろん、オーブントースター、電気ケトル、コーヒーメーカー、さらにはブレンダーなど、これらを快適に使うためにはコンセント計画が欠かせません。
キッチンのコンセントの数は、単に多ければ良いというわけではなく、背面のカップボードに調理家電を何個置くかという各家庭の状況によって変わってきます。
さらに重要なのは、これらの調理家電はどれも比較的消費電力が大きいという点です。カップボードの上に設置するコンセントについては、電子レンジとトースターを同時に使った瞬間に入居後のブレーカーが落ちてしまうといったトラブルを防ぐため、通常の配線とは別系統の「専用回路」として独立して設置してもらうよう必ずリフォーム会社に指示を出してください。
また、背面のカップボードだけでなく、キッチン本体側への設置もおすすめです。調理スペースの近くに「カバー付きコンセント」を設けておく仕様が便利です。これがあれば、ジューサーやミキサーなど、カップボードの上ではなく調理スペースの目の前でサッと使いたい家電を、水濡れを気にすることなく活用できるようになります。
現場監督 福田からのアドバイス③
電気まわりの追加工事は、壁のクロスを貼る前であれば職人の手間もそれほどかからず、比較的少ない追加費用でコンセントの増設や専用回路の引き込みが可能です。家具を配置した後にタコ足配線で対応するのは見た目にも安全面にも良くありませんので、図面の段階で家電の定位置をすべて書き出しておいてくださいね。
⑩最近は見かけることがなくなった「足元温風ヒーター」
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こちらは番外編と言ってもいいかも知れません。冬場のキッチンの寒さ対策として、かつてはシンクのキャビネットの前の足元部分から温風が出るタイプの「足元温風ヒーター」が導入されることがありました。しかし、この設備は調理中に出る食材のクズや埃を床面から吸い込みやすく、内部のお手入れが非常に面倒という盲点があり、最近のシステムキッチンでは本当に見かけないものとなっています。
よくある質問(FAQ)
Q1.リフォーム会社から出された最初の見積もりが、他社より20万円も安いです。そのまま契約しても大丈夫でしょうか。
提示された見積書の仕様書を細かく確認してみてください。食洗機が浅型になっていたり、引き出しがソフトクローズなしになっていたり、カップボードが含まれていなかったりして安く見えている可能性が高いです。4人家族で暮らす上での使い勝手を考慮し、必要なオプションを加算した上で改めて他社と比較することをおすすめします。
Q2.キッチン本体に付ける「カバー付きコンセント」は、水がかかっても本当に安全なのでしょうか。
キッチン専用に設計されたカバー付きコンセントは、調理中の水ハネや油ハネが直接刃受けに入らないような工夫が施されています。ミキサーなどを使用する際、濡れた手で触るリスクを軽減してくれるため、キッチン上での調理家電の使用頻度が高いご家庭には安全で利便性の高い設備です。
Q3.家電用のコンセントを「専用回路」にするには、どれくらいの追加費用がかかりますか。
配線を通す距離や分電盤の空き状況にもよりますが、リフォームの解体工事と同時に行うのであれば、1回路あたり数万円程度の追加で済むことが一般的です。ここを削って後からブレーカーが頻繁に落ちるようになると生活ストレスが非常に大きくなるため、確実に投資すべきポイントです。
まとめ
<当社施工事例>
リフォーム会社が提示する「安い見積もり」には、普通に流通しているベーシックな設備を最小限で組み合わせるということがあります。それがご自身のライフスタイルに合っていれば問題ありませんが、特に4人以上のご家族のように家事のボリュームが大きいご家庭では、後から「使いにくい」「容量が足りない」と後悔することになりかねません。
見積書の金額の低さだけに目を奪われることなく、今回お話ししたコンセントの専用回路や食洗機の深型化、またパントリーを意識した収納計画など、毎日の暮らしの質に直結する重要なポイントにはしっかりと予算を配分し、満足度の高いリフォームを成功させてくださいね。